柄によって着用時期が限られるものほど心惹かれる着物が多いのは花嫁着物も同じかもしれません。
花嫁着物は通年柄のものが多く、色によって多少季節を考えることもあるのですが、先日おつくりしたこの打掛は4月5月あたりのお客様にぴったりの一着。「藤」です。
万葉の昔から日本にある藤。それをすべて手刺繍で表現してある贅沢な打掛です。奈良時代から紫は高貴な色として尊ばれ、藤の花の美しさは万葉集にも多く詠まれています。平安時代には位の高い人々が好んで装束に取り入れた各の高い文様。もちろんそういった意味でも大変縁起が良いものでは間違いないのですが、それよりもなによりも、とにかく一目で魅了される力のある着物です。
フキは藤の葉の色をあしらい、軽やかで心弾む春先の鮮やかさを表現しました。ご来店の際はぜひお手に取ってみてください。